2020-01-01から1年間の記事一覧

IKEAがわるい

久々に帰宅した一人住まいのアパート。照明をつけると、部屋の奥には見るも無残に砕け散ったベッド。いや、砕け散ったといっても、さすがに枠の部分は残っている。が、マットレスを置く底板のすのこがばらばらに床に広がり、無用の長物と化している。心情的…

電車について【思索1】

きみの書く小説はいつも電車に乗っているね、といわれた。 ぜんぜん意識したことがなかった。思い返してみて、驚いた。たしかに多くの習作で電車が走っていた。いま書いている話も、中央本線で甲府に行くシーンから始まっている。 ぼくはべつに乗り鉄でもな…

華氏451度の世界で本を読んだ?

「先生、この期間に小説書けるんじゃないですか」 新学期の開始がGW明けに決まったとき、職場のひとにいわれた。 実際にはそれからも分散登校があったりオンライン授業の実施が決まったりと、なんだかんだでやることはあり出勤もしていたわけだが、それでも…

多摩川:祈るように見つめた光

東京の川と聞いて真っ先に思い浮かぶのは隅田川だろうが、規模からいえば埼玉との境にもなっている荒川や南部を流れる多摩川のほうに分がある。小学五年に上がる春に東京に越してきて二十五で実家を出るまでの十四年間、ぼくが暮らした町には多摩川が流れて…