この一年

前回ブログを更新したのが1月17日ですから、実におよそ四ヶ月ぶりの更新となります。四ヶ月。一年の三分の一。さすがにそんだけ経てばこんな僕でもさまざまなことがあって、そのさまざまなことが書き切れないがゆえに「それならいっそ何も書かないほうがましだ」と持ち前の神経質さを発揮させていたんですが、それでもせっせと開設し心の内を吐露、とまでは行かずともほのめかしくらいはしていたブログをやめるのはちと惜しいので、がんばって開き直って、またとりとめのないことでも書いてみたいと思います。

しかし何から書けばいいのだろう? さっきも書いたとおりこの四ヶ月にはさまざまな事柄があって、たとえば相変わらず山には登っていたし、サイクリングもしていました。五年生になるのに友達の卒業旅行に混じって大島に遊んだかと思えばランニングにはまり、春休みは友達Sといろいろなところへ走りに行きました。音楽ではサニーデイ・サービスにはまり、最近ではALにお熱です。神保町のおもしろさに気づき、古本屋巡りにふらりと出掛けるようにもなりました。読書に関していえば、ここのところは小説よりも批評にまみれています。『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』がその口火。今更とはいえ、浅田彰『構造と力』もおもしろかった。どちらの本もこれまでウエルベック松家仁之を読んで考えていたことに考えの枠組みを与えてくれるもので、自分の考えている問題、テーマがよりはっきりとしてきたかなと思っています。僕はいま、こういったら大袈裟に聞こえるかもしれないけれど「人生」について、より正確にいえば「どうすれば生き延びることができるか」ということについて真剣に考えています。もともとうじうじと悩みながらもこうしたことについてはっきりと問題化して考えたことはなかったので、それだけでもこの一年はありがたかったと思っています。もちろん留年したことによる弊害もあるだろうしこれから先負担となっていくのかもしれないけど、もしこの一年がなければ、僕はこういった視点、つまり自分の人生や生き延び方について考える、オブジェクト・レベルではなくメタ・レベルから捉えるという視点を持ち得なかったと思うのです。この一年は、きっと僕の人生の上で重要な年になる。

長々と書いてしまいましたが、いま、僕はこんなことを考えています。折々、そういったことについても書いていけたらと思います。

というわけで、更新頻度は不明だけど、とりあえず継続。

無題

 二十二にもなって「母のPCに落書きしたよ。楽しかった☆」みたいな記事がいつまでもトップに表示されたままなのはさすがにやるせないのでさっさと更新しようと思っていたんですが、なぜだか急にブログを書くのが面倒になってしまって放置していました。ネタはたくさんあったのに。

 たとえばネットで注文していた七本槍や本が指定したわけでもないのに一斉にクリスマスに届いてまるでサンタさんからのプレゼントみたいになったり (ぜんぶ自腹だけど)  グレンフィディックやP・K・ディックにハマッたりしました。初めてスカイツリーにも上ったしソラマチはせがわ酒店ではなんとあの飛露喜を手に入れた。酒の話ばっか。

 ほかにも年始には箱根の金時山に登ったり奥多摩の川海苔山にも登りました。久々に愛車ダホンで70kmのロングライド (僕にしてみれば) もしたしまさに今日 (もう昨日) 二台目の自転車も買った。時系列がぐちゃぐちゃですが年末には友達の家に泊まり『神様の言うとおり』というクソどうでもいい映画を観てしまったりもしました。

 あとは漫画。『バーナード嬢曰く』『甘々と稲妻』など最近は充実しています。小説だとさっきも書いた通りP・K・ディックにハマり (といってもまだ2冊しか読めてない)、辻原登の『父、断章』に痺れました。あと安吾の「堕落論」もよかった。これからの精神安定剤になりそうです。

 とまあ、こんな感じでなんやかやはあったので、そういったこと、特に登山・自転車・本の話なんかはこれからぼちぼち書いていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

春隣【創作小説】


 ずっとほしかった一眼レフを買ったので、日曜日の午後、さっそく外に撮りに行ってみることにした。近所の河川敷に出かけると言うと、春子さんが「私も、私も行く!」とあわてたように繰り返すので、一緒に出かけることになった。
 僕と春子さんは一緒に家を出て、だんだん春めいてきた外の景色を眺めながら河川敷までの道を歩いた。日曜日とだけあって、土手に整備されたサイクリングロードは自転車やジョギングを楽しむひとたちで賑わい、河川敷では少年野球チームが元気な声を響かせている。
「何を撮るの?」
「……うーん。なんか適当に、そのへんの風景でも」
 僕たちは土手を渡ってひとまず河川敷に降り、活発な応援が飛び交う少年野球の紅白戦に目をやった。ボールがミットに収まる。ストライク! バッターアウト……
 あらかじめカメラに装着しておいたレンズの蓋を外し、ファインダーを覗き込んでみた。ぼやけた景色が目の前に広がり、シャッターボタンを軽く押すと、ピントが合ってクリアな世界に変わる。川向こうにレンズを向け、適当なところでシャッターを切った。小気味いい音がして、スクリーンに撮ったばかりの写真が表示される。
「見せて見せて」
 顔を寄せてきた春子さんにスクリーンを見せた。
「ははぁ〜。やっぱりうん十万のカメラだけあるね〜」
 僕は聞こえないふりをし、再びファインダーを覗き込んだ。
 でも確かに春子さんの言うことは当たっていて、まったくの素人である僕が構図も絞りもそこそこにシャッターを切っても、それなりに絵になる写真が撮れた。ただ遠くを撮るのには限界があって、こんなことなら最初から望遠レンズも買っておけばよかったと思う。
 僕が早くも次のレンズの試算を始める傍ら、春子さんは川の水に手を浸したり石を投げたりして遊んでいた。僕はそっとその場を離れ、夢中で石を選んでいる後ろ姿をファインダーに収めた。彼女に焦点を合わせ、シャッターを切る。……パシャ!
 気配を感じたのか、ふと春子さんがこちらを振り返った。カメラを向ける僕に気づき、手に持っていた小石をぽとりと落とす。それから両手を広げ、満面の笑みでダブルピースを浮かべた。近くにいたカップルが、くすりと笑い声を漏らす。
「なんだかなぁ」
 思わず苦笑し、嬉しそうにピースサインを送る彼女をファインダーに収めた。河辺に生い茂る緑のなかで、彼女だけが鮮やかに浮かび上がって見える。
「……ま、いいか」
 春を隣に控えた空はわずかに霞み、ぼんやりとした光を落としていた。その平凡で幸福な光の下でシャッター音が響き、僕たちの日常を切り取った。



apathy

 何事においても無関心、無気力、無感動になる状態のことをアパシーというそうですが、どうやらこれになっているようです。ブログを最後に更新したのは一週間前。ですが少なくとも二週間前にはこのどうしようもない状態になっていた気がします。

 もうね、ほんとうに何に対してもやる気がでない。大学に行くのも億劫だし、そもそも外に出たくない。小説を書くのも面倒で、我ながら非生産的な時間を送っています。
 別にこうした状態に陥るのは今回が初めてではなく、中学生の頃から何度も鬱ぎの虫を経験してきましたが、今回のは今まででもいちばん酷い。食欲性欲物欲その他人間ならば当然持っているはずの欲がすべて睡眠欲に置き換えられ、一日中寝ている日々です。
 よしもとばななの小説ならば何らかのキッカケがもたらされて無気力ゆえの眠り病に罹っている主人公もひとまずの落着を見せるのでしょうが、ここは小説の世界ではなく現実世界。そんな都合の良い展開があるわけもなく。

 おそらくこのアパシーは現実に対して希望を持てないこと、唯一の希望であった小説家になるという夢がどうやら無理っぽいということにいい加減目をそらせなくなってきたことに由来しているのだと思います。

 何かキッカケがほしいです。とにかく無理矢理にでも遠くへ出かけるとかバイトを始めるとか何かしらのアクションを起こす必要があるのは重々承知しているのですが、そんなことが出来るのならそもそもアパシーになんかなりません。

 いやはや、どうしようもない。


プルシアンブルー【創作小説】



 雨の音を聞いていた。
 開け放した窓の外で、春の雨がぽとぽとと降る。昨日の夜から、絶え間なく降っている。この分じゃ、桜も散ってしまうだろう。
 画布には、夕空の下で満開の桜が描かれていた。下塗りには、その時々の絵で主役にしたい色を隠すことに決めている。今回は、とりあえずホワイトとクリムソンレーキを塗った後、プルシアンブルーを混ぜた。それから色調を見て気の赴くままに色を重ねていき、今の絵が出来上がった。春の野を前景に置いた、単純な構図だ。なんとなく、ピサロの絵を意識した。僕はあの、油絵でしか出せない細密描写と、それでいてぼかされているような抽象性が好きだった。
 部屋の中は暗かった。僕は筆を置いて立ち上がり、少し離れた場所から絵を眺めた。残光がところどころに影を作る野の緑は、柔らかでいながらどこか鋭さを感じさせる。そして一際大きな影を落とす、数本の桜。背後にはプルシアンブルーの透明な空が広がり、彼方で夕日がいまわの光を放っていた。
 筆に付いた絵具を洗液で溶かした後、僕は服を着替えて外に出かけた。散る前に、見ておこうと思ったのだ。今年で最後になるはずの、この町の桜を。
 今年は、桜が咲くのが早かった。記録的な厳冬が、通年よりも早く桜の花芽を目覚めさせたらしい。三月に入って途端に暖かくなったことも影響し、開花の早さは近年稀に見るものとなった。
 天気予報では、今週末が最後の機会だと言っていた。明日から僕は、住み慣れたこの町を出て新しいアパートに暮らすことになっている。そのアパートは、この町から中心部へと出、さらにそこから何時間も電車に揺られなければいけない場所にあった。僕はこの春から、ある会社の宣伝課で働くことになっていた。
 ぎりぎり完成したな、と僕は思った。この家を出る前に、完成させる必要があった。次の部屋では、あのサイズの画布を置くスペースはない。生活するのに最低限必要なものを収めたら、ワンルームはいっぱいになった。
 その部屋からは梅林が見えた。盛り上がった土地に、細い幹が枝をめぐらしている。彩度の多彩な花の色が、あたりの緑によく映えていた。夕日の射す空っぽの部屋からその景色を眺め、これからここで暮らすんだな、と思った。日が沈むと、街灯の頼りない光の下で梅林は繊細な影を作った。その町の夜は暗かった。
 傘を差すと、ト、ト、ト、と低い音を立てて雨粒が落ちた。一定のリズムで弛みなく降ってくる、丁寧な雨だった。雨勢は強くも弱くもなく、粒は大きくも小さくもない。風はなかった。そのため、雨はまっすぐ落ちてきた。僕は傘を垂直に持ち、溜まりを踏まぬよう注意して歩いた。
 都市に対し、いわゆる郊外にあたるこの町は、決して田舎ではないけれど、未だ多くの緑を残す自然豊かな土地だった。少し歩けば、両岸をソメイヨシノに挟まれた小川に出ることが出来る。町自体が都市部から離れているため、ほとんど知られていない隠れ名所だ。橋の中間に立って見渡すと、その景色は圧巻だった。細い流れの両脇を、どこまでも桜が続いている。日照時間の異なる桜の開花はまちまちで、満開かと思えば、既に散りかけている樹もあった。花瓣を落とした桜も、残った蕊のためにまだ全体的に赤みがかっている。これから、初夏に向けて少しずつ若葉が芽吹いていく。僕は満開の桜も、葉桜も好きだった。
 桜の絵で知られているものは、意外と少ない。きっと探せばあるのだろうが、海外の作品に桜のイメージはないし、日本画ではたとえば横山大観が夜桜の絵を幾つか描いているが、彼の他の絵と比べると認知度は落ちるだろう。
 東山魁夷という画家がいる。二十世紀を生きた人で、風景画を多く描いた。この人が、桜の絵を数点残している。どれも淡い筆触で描かれていて、繊細さを持っている。桜を描いたものの中では、僕はこの人の絵が好きだ。見ていると吸い込まれそうになる妖しさに、つい息をするのも忘れてしまう。
 雨は強まりも弱まりもしなかった。降りしきる滴に、花冠が上下に揺れている。波紋を広げる川面を左手に見ながら、遊歩道を歩いた。すべてが雨に包まれて、白く煙っていた。静かだった。音がないというより、あらゆる音が雨に吸収されてしまっているようだ。雨は降りすぎても、雨量が少なくとも耳につく。ほんの霧雨程度では逆に地上の音を際立たせてしまうし、大雨になると雨滴の立てる音それ自体がうるさい。静かな雨を降らせるには、地上の音と雨の音を見事に調和させる必要があるのだ。今日の雨は、そのバランスをちょうど良く保っている。繊細さの作り出す淡い風景の中で、僕は桜の樹の下をしずしずと歩いた。……


「桜って、見れば見るほど遠い気がする」
 川面に伸びる枝に触れようと腕を伸ばしながら、雪子が言った。袖から覗いた腕のあまりの細さに、心臓の凍る思いがする。黙っていると、ねえ、とこちらを振り向いた。青いと見えるほど白い肌に、墨汁をこぼしたような眸が僕を見つめている。宇宙にまで続いていそうなこの眸に見つめられると、僕は金縛りにあったみたいに動けなくなってしまう。
「あなたは、そんな気がする?」
 わからない、と僕は言った。彼女は背伸びをして花瓣に触ろうとしていたが、ふと腕を下ろすと、
「私、桜ってどこか別の世界と繋がってる気がするの」
「別の世界?」
「うん。だって、桜の花ってどれだけ触っても掴めない感じがするでしょ? だから、思ったの。桜の樹は本当はこことは全然違う場所にあって、そこから枝を伸ばしてるんじゃないかって。きっと、その場所には桜みたいに綺麗なものがたくさんあって、一年中花瓣が舞ってるの」
 雪子の言うことは、時々僕にはわからなかった。そうした言葉を聞くたび、僕は言いようのない不安にとらわれた。漂うように歩く頼りない背中を見ていると、桜の樹が今にも彼女をどこかへ連れ去ってしまいそうな気がしたのだ。僕には雪子こそ、触っても触っても遠かった。
「来年の春は、社会人だね」
 降ってくる花瓣を掴もうと手を伸ばしながら、雪子は言った。暖かな風が吹くたび、ひらひらと春のかけらが舞い落ちる。僕はこれまでの大学生活を思い、なぜだか信じられない気持ちになった。この桜も、いずれ終わる。そうして季節は巡り、あっという間に新しい春が来るだろう。今までが、そうであったように。
 あ、と小さく声がして顔を向けると、雪子の広げた手にひとひらの花瓣が乗っていた。僕と彼女は身体を寄せ合って、その小さな掌の上の色彩を見つめた。薄青い雪子の肌に置かれた桜は、そのまま溶けてなくなってしまいそうに思えた。
 花瓣が風に飛ばされてしまうと、雪子は空を見上げた。夜の気配を孕んだ冷たい風が、肩下までの髪を揺らす。焼け落ちる夕日が、高彩度の色彩を放っていた。その色彩は徐々に彩度を弱めていき、透明な青色をした空とのあわいに消えていく。雪子が僕に微笑んだ。
「私、この時間帯の空がいちばん好き」


 ――町の音が甦っていた。雨が止んでいた。
 傘を下ろすと、梢の間からわずかな晴れ間が見える。雨に洗われた空は、吸い込まれてしまいそうなほど透き通っていた。遠くで日が沈み、光の筋を雲の上に走らせている。まるでぽっかりと空いた穴のように、頭上の晴れ間だけ深々と青かった。
 終わりの空だ、と僕は思った。じきに日は完全に暮れ、新しい夜が始まる。そうして僕は家に帰り、明日には違う場所にいるだろう。風が吹いて、僕はもういちど頭上を見上げる。どこまでも続いていそうな透明な空から、吹雪のように白のかけらが舞い降りてくる。それを掴もうと、僕は腕を伸ばす。



武甲山に登ってきた【登山レポ】


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 先月の3日、幼馴染のKくんと秩父山地武甲山に登ってきました。
 Kくんとは、小学5年生のときに僕が東京に越してきて以来10年以上の付き合い。僕が私立に進んだため中高は別でしたが、その間もたまに連絡を取り合っては遊び、2年前にKくんが社会人となってからもちょくちょく飲んだり遊んだりしている間柄です。
 ふだん山に行くときはもっぱら大学友達のSと連れだって行っていたため、Kくんと登山をするのは初めて。なんとなく秩父のほう行きたいよねと話していて、それならと以前から気になっていた秩父御岳山に行くことにしました。……が、山行の3日前くらいから「武甲山もいいなあ」なんて思い出し、色々な面から考えたんですがアクセスも難易度もそう変わらないようだったので決められず、悩みすぎて頭パーになったので当日Kくんと相談して決めることに。



11月3日 (火) 晴


早朝、最寄り駅ホームにて

僕「あのさ、秩父御岳山に行くって言ってたじゃん?」
K「うん」
僕「でもほかにもうひとつ良さげな山見つけちゃって、武甲山っていうんだけど、どっちがいい?」
K「どう違うんすか」
僕「秩父御岳山はどちらかというとマイナーな山で、武甲山秩父のシンボルといわれるくらいメジャーな山。標高は武甲山のほうが300mくらい高い。でも人は武甲山のが多いと思う。あと、どっちも熊が出る
K「……武甲山かな」
僕「オッケー!」
 というわけで、急きょ武甲山に予定変更。


8:07 西武秩父駅

 もともと秩父御岳山の最寄りである三峰口駅まで行くことを想定していたため、8時早くに西武秩父駅に到着。ここからはタクシーに乗って生川登山口まで行きます。距離的には横瀬からのほうが登山口に近いんですが、横瀬駅にはタクシーがないので西武秩父から乗りました。


8:30 生川登山口着

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タクシー降りた途端に超寒い。あと電波入らない。

 20分強で生川登山口に到着。料金は2700円とかだったと思う。1人1500円かからなかった。
 走行中、ずっと運ちゃんと話してたんですが、「今日 (当日3日は文化の日) の武甲山山頂は原宿の歩行者天国と変わらなんじゃないかな」と言われ、そんなに人多いんか! と思ったけど実際行ってみたらぜんぜんそんなことなかった。そもそも原宿にホコテンあんのか (Wikiで調べてみたところ98年に廃止)。ほかにもこのあたりは山から熊が下りてきてあそこの家は外で飼っていた犬を喰われただのここらで熊に会うのは日常茶飯事だの怖い話ばかりされて、「やばいところにきてしまった……」と登山初心者の僕とKくんはびびらされました。まあ確かに熊はいるらしいんだけど、今思い返すと僕らを脅かして楽しんでいたとしか思えない。「まあ2人いるし、最初にどっちが囮になるか決めといて熊に会ったら1人が犠牲になればいいから(笑)」って笑えねえよ! でも色々な話をしてくれたし悪い人ではなかった。なんだかんだ僕らも楽しかったし。運ちゃんから聞いたほかの話では、山で猪を見つけたら怪我をしてでも捕まえたほうがいいというのがあった。売ると高いらしい。ヨッシャー捕まえたるでー……って無理!

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今回は生川基点から山頂まで登り、浦山口まで下ります。

 この地図の近くに「熊さんにお願い」という「きみの住んでる地域に人が入るけど襲わないでネ (はぁと)」みたいな看板があって撮ろうかと思ったんですが、「これがフラグになったら嫌だな……」と思ってやめました。それくらいびびってました、ハイ。

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混雑を予想していたのに、実際はあまり人がいなかった。

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のび太の宇宙漂流記』に出てきそうな木。

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山頂付近は紅葉していた。

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秋。

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武甲山御嶽神社

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山頂へ急ぐ。


10:30 武甲山頂着

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「標高 一、三〇四m 武甲山」。日本二百名山です。(「グレートトラバース2」でも先月14日放送分で田中陽希さんが登ってました)

f:id:umiya22:20151126222012j:plain秩父市街を一望!

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恒例のカップヌードル武甲山は山頂が狭いのでなかなか適した場所が見つからず、いちどは神社付近の広場まで戻ったんですが、ベンチがなかったので結局山頂の岩場で作りました。座り心地を気にしなければ、山頂でも食べるスペースがあります (ただし混んでたらアウトです)。ビニールシートがあれば広場で食べるのもアリだけど、こちらは眺望が無いというデメリットも。座り心地を取るか、景色を取るか。難しいところですね。

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この日は快晴で下界はそれほど寒くなかったけど、山頂は寒かった! 温度計は10℃を切ってました。遮るものが無いから、風も強い。コーヒーの温かさが身に沁みた。

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「あれが『あの花』の橋かな〜」なんて探してみたり。


11:30 下山開始

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ランチ&コーヒーブレイクを楽しんだら下山。神社鳥居付近に浦山口登山道への分岐路があります。

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こっちの道のほうが、どことなく秋めいていた。

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下山終了。といってもここから浦山口駅まで4km近く歩きます。ちなみに、写真に写ってる橋に「ゴールだー!」と走り込んだところ、前日の雨で濡れていて盛大に転びました。それはもう、見事なまでに後ろ向きに。漫画みたいなすってんころりんでした。

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雰囲気がありすぎる鳥居。

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土津 (はにつ) 園。牧場直送のアイスクリームが売りらしく、注文したらいっぱいおまけしてくれた。おまけしてもらったから褒めるわけじゃないけど、今まで食べたアイスの中でいちばん濃厚で、おいしかった。しかもありがたいことに温かいお茶が飲み放題。お店の方も気さくだったし、寄ってよかった。


 土津園でひと休みしたら、引き続き浦山口駅に向かいます。電車の本数が1時間に1、2本しか無いため、事前に調べておくのがオススメです。(僕たちは土津園で調べました)

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秩父線浦山口駅


13:58 浦山口駅

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わけのわからない電車が来た。

 上り、下りともにコースタイムより早く行けたのと出発が早かったのとでまだ14時前だったため、せっかく秩父まで来たんだしと思いつきで『あの花』の舞台へ行ってみることに。


14:21 大野原駅

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というわけで秩父線大野原駅

 『あの花』だったらやっぱりあの橋だろうということで旧秩父橋に向かっていたのですが、そこで思わぬ出会いが。

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この光景、どっかで見たことある!


「青い栞」のMVだ!(1分51秒頃参照)

 この「青い栞」は『あの花』のオープニングテーマで、MVもその舞台である秩父で録られているため旧秩父橋の近くにある「さかもとストア」が出ていても何らおかしくはないのですが、橋の近くにあるとは知らなかったのでびっくりしました。

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そしてこちらがメインの橋。

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ちちぶ『ば』し」だと思ってました。濁らないんですね。

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写真に見えてるのが新しいほうの秩父橋。旧秩父橋が歩行者専用なのとは対照的に、ひっきりなしに車が通っています。

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 『あの花』の舞台を満喫した後は、西武秩父駅に戻ります。橋の近くに秘密基地の舞台と目される場所もあるらしいんですが、僕たちはこの場所だけで十分満足したので。


15:03大野原駅発→15:17西武秩父駅

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御花畑駅で下車し、5分ほど歩くと西武秩父駅

 以前にも秩父へ来たことのあるKくんいわく、「わらじカツ丼」なるものが有名で且つおいしいとのことなので、仲見世通りにある「お食事処 仲見世」に入りました。

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わらじかつ丼 (900円)

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ちびわらじかつ丼 (820円)。普通サイズを食べきれる自信が無かったためこちらにしたんですが、差額80円というのはコスパが悪すぎる気が。でもおいしかったので満足です。

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吉高由里子も食べてました。



まとめ


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写真は大野原駅ホームから見上げた空。この日はほんとうにいい天気だった。


 当日の朝に軽いノリで行くことになった武甲山でしたが、さすが秩父のシンボルといわれるだけあって素晴らしい山でした。秩父なので熊鈴は必須ですが、初心者でもそう苦労せずに登れる山なのではないかと思います (実際、初心者の僕らがそう疲れずに登れました)。秩父市街を一望できる山頂からの眺めも圧巻ですし、万人にオススメしたい山です。登山口までのアクセスがあまり良くないのがネックですが、僕らのようにタクシーを使う手もあるので、そう気にしなくてもいいかなと。体力に自信がある方は、横瀬駅から歩いて行くのも可能です (1時間半ほどかかるそうですが)。

 また、この記事でも何枚か載せましたが、武甲山の山容は大迫力です。もうそれだけで、武甲山に登る理由になるのではないかと。威圧的な山容の裏には掘削工事という山にとっては残念なバックグラウンドもあるんですが、そうと知りつつもどうしてもその山容には惹きつけられます。だってあんな存在感を目にしてしまったら、どうしたって登りたくなってしまいますよね。

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あの花』効果もあって活況を見せる秩父


 実は僕は秩父のほうにはこれまでいちどしか来たことがなく、それも長瀞にちょろっと立ち寄った程度だったので実質今回が初めてだったのですが、武甲山がよかったのを抜きにしても、とても魅力的な地域だと感じました。まず、自治体 (というより西武鉄道?) が精力的に集客に取り組んでいるのがいいですよね。以前棒ノ折山に登りに飯能へ行ったときも書きましたが、アニメを利用したり、次々とコンセプトを打ち出したり……(「秩父金よる旅」とか)。最近まで放送されていた、吉高由里子が彼氏と喧嘩するCMも個人的にはかなり好きです。あれで「三峯神社に行きたい!」と思うようになった。



 そういえば、西武鉄道について書いていて思い出しましたが、往きに乗ったレッドアロー号が素晴らしかった。何が素晴らしいかというと、安い! 僕らは所沢から西武秩父まで乗ったんですが、530円でした。それで時間も30分近く短縮できるっていうね。都内から出かける方は絶対乗ったほうがいいです。あまりにコスパがよかったため、復路でも乗って帰ろうと思ったんですが、祝日だったからか既に満席でした。帰りの時間が見積もれる場合は先に予約しておいたほうが良さそうです。ちなみに全席指定席。(僕はいちど、高麗に行くときに間違えて切符を買わずに乗ってしまったことがあります。もちろん後で料金を払いました)


 最後に改めて話を登山のことに戻すと、武甲山はそれなりの手応えがありながらキツすぎず、山頂からの眺めも良いとても充実した山でした。いきなり両神山金峰山に登る自信は無いけれど、秩父の山に登ってみたいという方、ただ単に自然を満喫したいという方、山頂からの景色を楽しみたい方、いずれの方にもオススメです。


 秩父のシンボル、いちど登ってみませんか?



行程 (あとで思い出しながら書いているため、正確さには欠けます。あくまで参考程度にしてください)

8:07 西武秩父駅
8:30 生川登山口着
10:30 武甲山頂着
11:30 武甲山頂発
13:20 土津園着
13:58 浦山口駅
14:21 大野原駅
15:03 大野原駅
15:17 西武秩父駅



おまけ

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 西武秩父駅仲見世通りに酒屋があったので、買っちゃいました。
 秩父の地酒といえば、「武甲正宗」と「秩父錦」。悩んだ末、ほとんど直感でこちらを選びました。「秩父錦 特別純米酒 無濾過原酒 蔵囲い」。まだ開けていませんが、飲んだらこちらも感想を書きたいと思います。

 それでは、長々と読んでくださりありがとうございました。