怒らないのは怠慢か
もやもやしていることがあるので書いた。勢いのまま書いたので雑かもしれない。悪しからず。
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ぼくは先月から集団指導塾でアルバイトをしている。過去に個別指導塾で働いたことはあったが、集団で教えるのは初めてだ。
かなり疲れる。
ぼくが今月末まで教えてきたのは小三と小五のクラスだったが、ぜんぜん話が通じない。「静かに」と言っても静かにならないし、「はい起きて」と言っても起きない。
ある程度までは覚悟していた。やっぱり多少はうるさい生徒もいるんだろうなとか*1、おとなしい生徒ばかりだった母校での教育実習のときより大変だろうなとは思っていた。
しかし彼らは想像以上に勉強する気がなくて、怪獣だった。
やろうと思っていた範囲を終わらすことができない。何度注意しても私語を話す生徒がいる。一部、まったく集中できていない生徒もいる。
自分のために言っておくと、ぼくはぼくなりに生徒のことを考えているし、説明や板書も過去の授業例を鵜呑みにせず、より良くなるように模索している。生徒との関係にしても、決して嫌われているわけではない。どちらかといえば好かれていると思う。
それでも彼らのおしゃべりを止めることができない (もちろんすべての私語がダメだといっているわけではないです。ただ、こちらが説明しているときや問題を解いているときの私語はほかの生徒にとって迷惑なので見過ごせない)。
ほかの講師、たとえば校長や社員はどうしているのだろうと思って観察してみると、彼らは生徒に厳しく接することで対処していた。少しでも私語がでたら叱り、生徒の言葉もくだらないと思ったら無視するなど、ぼくなんかはちょっと感じ悪いんちゃうと思ってしまうような接し方をしている。
これまで約一ヶ月のあいだ授業をした見地から言えば、それは必要なことなのだと思う。特に小学生には。厳しく接することで彼らを制御し、集中できる環境のなかで授業を展開する。生徒は授業中に話したら名指しで怒られるから話さなくなる。宿題を忘れたら叱られるからなるべく忘れないようになる。
念のために言っておくと、ぼくはべつにこの文章で校長や社員を悪く言いたいのではない。彼らが生徒のことを常に気にかけ、志望校に合格できるよう精いっぱい働きかけていることも知っている*2。それは絶えず流れてくる社内LINEを見ていればわかる (なんとも驚いたことに、校舎ごとのLINEがあるのだ。このLINEでは生徒の最近のようす、勉強の進捗具合などが報告、相談される)。
ぼくはずっと「先生」が嫌いだった*3。これはいまでも思うのだが、教える立場の「先生」に限って「ひととしてどうなの」というひとが多いと思う。ぼくは昔から多くの「先生」に反感を覚え、なんであんなやつに命令されなきゃいけないんだ、なんで宿題を忘れただけでこんなに叱られなきゃいけないんだと思ってきた。で、だからこそぼくみたいな「先生」嫌いの人間、たぶん学校的尺度からすればろくでもないぼくのような人間がひとりくらい学校にいてもいいのではと思って教職課程もとった。*4
ぼくは「勉強なんて無理にやらなくてもいい」という考えの持ち主だ。どうしても勉強が嫌ならほかのことに力を注げばいいし、まして小学生の頃から塾に通わせる必要はない*5。勉強なんてテスト前にちょろっとやればいい。宿題もやらなくていい。小学校から高校まで、ぼくは宿題なんかほとんどしたことがなかった (でも無事に進級・進学できました)。
こうした考えがぼくをどういう「先生」にさせるか。けっきょく本人のやる気がなければどうしようもないんだからいちど注意しても起きない生徒はしゃあない、となる。もちろん起きてられるようにこっちはできるだけ彼らがおもしろいと思えるような授業を心がけるし、教室が暑くてぽーっとするんなら換気をし、寒いならただちに暖房を入れる。宿題? 形だけは注意するが、これも本人がそんなにやりたくないのならしかたがない。ぼくが見過ごせないのは私語だけだ。勉強したい生徒の邪魔だけはさせるわけにいかない。
本音を言えば、塾に来ている以上はみんなにまじめに取り組んでもらいたい。そうは思うんだけど、やっぱり宿題を忘れたA君を叱る気にはなれない。なぜならぼくは彼がまだ小三にもかかわらず週二で通塾し、ほかにもふたつの習い事をやっていることを知っているから。そもそも、こんな幼いうちから塾にくるなんて大変やなあ、気の毒やなあと思っているから。
しかし結果として、怒らない/怒れないぼくの授業がたびたび私語に中断され、ほかの先生の授業が緊張と強制によってであれカリキュラムを順調に進めているのなら、やはりぼくはやり方を改める必要があるのだろう。「はい起きて」と肩を叩くのではなく「起きろ!」と叱るべきで、間違っても彼らに「ここまでよくがんばりました。おつかれ」なんて言ってはいけないのだ。わかってはいるんだけど、うーん、嫌だなあ。……嫌いだった「先生」になってしまうのが、どうしても嫌だなあ。
やっぱりぼくは、教師には向いていないのだろうか?*6