読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

これからのこと

ふがいない大学五年生の記録

憧れの槍ヶ岳【本編3】

登山

 

08/04 (木)

 

f:id:umiya22:20160902224534j:plain

ヒュッテ大槍前より

 

登山3日目、最終日の朝は4時に起床。昨日と同じく御来光を拝みます。本当は御来光だけでなく星空も見たかったのですが、午前4時では既に星はほとんど消えていて、こちらは作戦失敗でした。ほかの宿泊客には夜中トイレに起きたついでに外に出て星空を見たという人もいて、僕たちもそうしておけば良かったと思いました。

 

f:id:umiya22:20160902225948j:plain

 

それはともかく御来光です。

槍ヶ岳までコースタイム50分のところにあるヒュッテ大槍から東を望めば上の写真のような景色が広がっていますが、北側には、

 

f:id:umiya22:20160902231238j:plain

 このようにドンと、槍の穂先が構えられています。

 

f:id:umiya22:20160902231805j:plain

 槍の肩に見える灯りは槍ヶ岳山荘のもの。けっこう遠くにも見えますが、ヒュッテ大槍からは1時間足らずで行くことができます。

 

f:id:umiya22:20160902232124j:plain

 

f:id:umiya22:20160903091504j:plain

 

f:id:umiya22:20160903091713j:plain

 

f:id:umiya22:20160903091814j:plain

 

f:id:umiya22:20160903091947j:plain

 

f:id:umiya22:20160903092113j:plain

4時50分頃 日の出

 

f:id:umiya22:20160903092429j:plain

朝陽を浴びる槍ヶ岳

 

さて、5時頃まで御来光を拝んだら、ヒュッテ大槍にて朝食をいただきます。

 

f:id:umiya22:20160903093025j:plain

 デザートまで付いたおいしい朝食

 

ちなみに、昨日の夕食はこんな感じでした。

f:id:umiya22:20160903093527j:plain

まさかの白ワイン

 

ヒュッテ大槍ではこの夕食時のワインが売りの一つのようで、食事もそれに合わせて洋食になっています。非常においしかったのですが、翌朝槍の穂先に登るつもりだったのでワインは控えました。自他共に認める酒好きのぼく、本当は飲みたくて飲みたくてしかたがなく、事実何度も誘惑に負けそうになったのですが、万全の状態で槍に登りたいという思いのほうが強く、どうにか抑えました。

ただ、目の前にあるとどうしても飲んでしまいそうだったので、食事の席で仲良くなった関西弁のおっちゃんに飲んでもらいました。おっちゃんありがとう。

 

f:id:umiya22:20160903094924j:plain

6:00 出発

 

朝食を食べ終えたらヒュッテ大槍を出発。いちどまた戻ってくることにして荷物を置かしてもらい、ヘルメットも借ります。

 

f:id:umiya22:20160903095310j:plain

 

f:id:umiya22:20160903095653j:plain

下 (写真中央左寄り) に見えるは深田久弥が泊まったという殺生ヒュッテ (?)

 

f:id:umiya22:20160903100353j:plain

6:40 槍の肩に到着。ヒュッテ大槍から槍ヶ岳を仰いだとき、槍ヶ岳山荘が見えたところらへんです。

 

f:id:umiya22:20160903100706j:plain

写真下部左寄りに矢印があるのがお見えになるでしょうか。ここから穂先へ登ります。

 

「憧れの槍ヶ岳」と題して書いてきたこの記事もとうとうクライマックスを迎えるわけですが、ここから穂先 (山頂) までの道のりは今まででいちばんの難所であり、一瞬も気が抜けません。

岩場のトレース、鎖場、垂直な梯子……。槍の穂先といえばこの垂直の梯子のイメージが強いかもしれませんが、ぼくがいちばん怖かったのは鎖場や梯子が出てくる前の岩場のトレースでした。鉄筋が岩に打ち込んであり、それを掴んで登り、また足場にもするのですが、鉄筋と鉄筋の間が離れている箇所があり、登り方が見つかるまでが非常に怖かった。Sも怖かったと言っていました。ここは焦らず、登り方が見つかるまでは下手に足を踏み出さないほうが良いと思われます (ずっと止まっているのも怖いですが)。

Sはボルダリングの経験が役に立ったと言っていました。三点支持の感覚が身につけられるそうです。ぼくの場合は北アルプスに来る前に登った岩殿山の経験が生きました。あそこの稚児落としに至る鎖場も相当怖かったので。

 

というわけで登っている最中は緊張の連続で、もちろん写真なんて撮っている余裕はなかったのですが、後からカメラを見返すとなんとか1枚だけ撮っていました。

 

f:id:umiya22:20160903102433j:plain

しかもちょうどいちばん怖かった箇所

 

基本的には注意さえ怠らなければ初心者でも登ることができるそうですが、転落事故が起こることももちろんあるみたいなので、実際に見て「無理だ……」と思った方は引き返したほうがいいと思われます。穂先への道は登りと下りとでルートが分かれていて、いちど登り始めたら引き返せないというのもありますし。

また、Sのように事前にボルダリングで感覚を養ったり、低山にある (無理だと思ったら引き返せる) 岩場や鎖場で練習するのも手です。

 

f:id:umiya22:20160903103154j:plain

7:00 ついに山頂に到着

 

f:id:umiya22:20160903103704j:plain

 

f:id:umiya22:20160903104049j:plain

 

f:id:umiya22:20160903104222j:plain

 

f:id:umiya22:20160903104341j:plain

 

f:id:umiya22:20160903104701j:plain

槍ヶ岳山頂 標高3180m

 

槍ヶ岳の山頂からは日本百名山のおよそ半分ほどの頂が見渡せるそうです。この時はガスもほとんどなく、360度ぐるりを遠望することができました。

それにしても、この達成感!

 

「一生に一度は富士山に登りたいというのが庶民の願いであるように、いやしくも登山に興味を持ち始めた人で、まず槍ヶ岳の頂上に立ってみたいと願わない者はないだろう」(深田久弥日本百名山』「槍ヶ岳」)

 

登山を始めて1年、とうとう槍の穂先に立つことができました。

こういう場合によく言われる、人生観が劇的に変わったとか涙が出たとかいうようなことはなかったけれど、それでも下界にいたら決して味わうことのない感情の高ぶり、また月並みですが、自然のスケールの大きさ——自然がまず先にあって、人間はあくまでそこにいるだけに過ぎないのだ——ということを肌で感じることができました。

間違いなく、これからの自分を変えていく出来事の一つになったと思います。

 

f:id:umiya22:20160903211250j:plain

7:25 下山開始

7:40 槍ヶ岳山荘 (槍の肩)

 

f:id:umiya22:20160903211731j:plain

槍ヶ岳からヒュッテ大槍に戻る途中の尾根

 

8:20 ヒュッテ大槍着

8:40 上高地に向けて下山開始

 

下山

f:id:umiya22:20160903212701j:plain

 

念願だった槍ヶ岳登頂も果たし、ついに山を下る時がやって来てしまいました。名残惜しいような、ほっとするような。ヒュッテ大槍にヘルメットを返却して荷物をまとめ、8時40分に下山を開始します。目的地の上高地までは長くなだらかな下りでコースタイム7時間50分。最後の踏ん張りどころです。

 

f:id:umiya22:20160903214234j:plain

 

f:id:umiya22:20160903214344j:plain

 

f:id:umiya22:20160903214518j:plain

バイバイ槍ヶ岳。(半ば雲に隠れています)

 

f:id:umiya22:20160903214815j:plain

 

f:id:umiya22:20160903214956j:plain

沢がありました。

 

f:id:umiya22:20160903215144j:plain

 

f:id:umiya22:20160903215525j:plain

 

f:id:umiya22:20160903215727j:plain

 

このあたりから沢の流れが川となり、その川に沿って歩いて行くことになるのですが、

 

f:id:umiya22:20160903215950j:plain

 

その豊かな水の、あまりの透明さに目をみはりました。

ちなみにこの川は梓川というのですが、andymoriが好きなぼくにとっては思い入れのある川でもあります。

 

帰り道のオリオン座 耳を澄ませた山びこ

遠くかすんでいく太陽 梓川 (andymori「優花」)

 

f:id:umiya22:20160903221028j:plain

 

f:id:umiya22:20160903221206j:plain

 

f:id:umiya22:20160903221407j:plain

 

f:id:umiya22:20160903221551j:plain

写真では伝わりづらいかもしれませんが、登山道を横切る沢によってできた水溜まりです。驚くべき透明度。

 

f:id:umiya22:20160903221839j:plain

どんだけ水の写真載せんねんっていうね。でもそれくらいきれいだったんです。

 

f:id:umiya22:20160903222022j:plain

 

f:id:umiya22:20160903222133j:plain

12:00 横尾山荘到着

 

f:id:umiya22:20160903222334j:plain

昼食

 

f:id:umiya22:20160903222817j:plain

12時40分、下山再開。横尾大橋を右手に見ながら上高地方面へ進みます。

ちなみに橋の方へ進むとコースタイム3時間の後に涸沢に至ります。ぼくたちは予備日の余りがあったのでこれから涸沢に行くという案も出たのですが、さすがに急過ぎるし、また今度の楽しみに取っておこうということになりました。金稼がないと……

 

f:id:umiya22:20160903223943j:plain

穂高方面。必ずや、いつか!

 

f:id:umiya22:20160903224349j:plain

 

f:id:umiya22:20160903224146j:plain

 

さて、道はいよいよ平坦になり、これまでの2日間ではしんどくて沈黙しがちだったぼくとSも気楽に談笑しながら歩いていたのですが。

なにやら前方が騒がしい。さっきから、鳥だか栗鼠だかが鳴いているような甲高い声がする。いったいなんなんだ? そう思ってふと目をやると、

 

f:id:umiya22:20160903224855j:plain

猿がいました。

 

f:id:umiya22:20160903225024j:plain

親子(?) で仲良く歩く猿

 

f:id:umiya22:20160903225352j:plain

「もう歩けないよ、ママ〜」「まったく、しょうがないわねえ」な猿

 

猿を山で見たのは宮ヶ瀬ダムに自転車で行ったとき以来だったので、テンション上がりました。別にぜんぜん好きじゃないんですが。

 

f:id:umiya22:20160903225753j:plain

14:50 かっぱ橋到着

 

f:id:umiya22:20160903230302j:plain

ザ・上高地という感じの写真。

 

f:id:umiya22:20160903230532j:plain

グレートトラバースで田中陽希さんが食べていたジェラート。美味なり。

 

f:id:umiya22:20160903230854j:plain

 

かっぱ橋から上高地バスターミナルまでは10分ほどで行くことができます。ぼくとSはしばし上高地の景色を堪能した後ターミナルへ向かいました。いつ下山することになるか正確なところがわからなかったため帰りのバスは予約していなかったのですが、折良く新宿行のバスがあったのでそれに乗って東京へ戻りました。幸せな山行でした。

 

16:15 上高地バスターミナル出発

21:00 新宿バスタ

 

f:id:umiya22:20160903232304j:plain

f:id:umiya22:20160903232351j:plain

「ねぎし」にて乾杯。この達成感たるや。

 

というわけで、無事に表銀座縦走、槍ヶ岳登頂を果たすことができました。今までお付き合いいただきありがとうございました。

細かい行程記録、山行の前に買った登山靴などの登山用品の感想、行ってわかったこと、反省点などは次回【振り返り編】にて書きたいと思います。【準備編】と同じく、主に初心者の方に向けて、実際に北アルプスに行ってみないとわからなかったことについて初心者であるぼくが書きたいと思います。

参考にしていただければ幸いです。(【振り返り編へつづく】)