憧れの槍ヶ岳【本編2】

 

 

08/03 (水)

 

 

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登山2日目は午前3時半に起床。御来光に向け、燕岳山頂へ向かいます。
初めてのナイトハイクでしたが、そこまで険しい道でもなかったので、特に怖い思いをすることもなく歩くことができました。ヘッドランプもぼくが用意したのは最大出力40ルーメンのものでしたが、事足りました (が、後日行った富士山では暗かったので、もっと明るいものを買ったほうが良いと思われます)。

 

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4:15 燕岳山頂 (2763m) に到着

 

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非常に分かりづらいですが、中央に槍ヶ岳が見えます。

 

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上の写真のアップ。これだと槍が分かる。

 

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徐々に白む東の空

 

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4:50 日の出

 

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姿を現す槍ヶ岳。あんなとこに登れるのか……? と不安になったり。

 

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まわりはこんな景色。

 

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心ゆくまで御来光を浴びたら、来た道を戻ります。

 

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5:40 燕山荘前のテーブルから

 

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今朝は燕岳がよく見える。

 

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朝食

 

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6:15 燕山荘を出発

 

もともと昨日、大天井ヒュッテまで行くはずがぼくの不調により燕山荘でストップしてしまったので、今日はコースタイム6時間35分のヒュッテ西岳を目指して歩きます。天気は昨日とは打って変わり、爽やかな晴れ模様。しかし昼からは雨との予報なので、先を急ぎます。燕山荘からのルートはいよいよ本番、表銀座縦走路。

ちなみにぼくの不調ですが、一晩寝たら順応したのか治っていました。ですが油断は禁物ということで、今日はこまめな水分補給とおやつ補給を心がけることにし、ポケットにたくさんおやつ類を忍ばせておきます。

 

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 これから槍ヶ岳までは北アルプス屈指の人気コース、表銀座縦走路。

 

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岩の合間を縫って進む

 

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矢印に従って進む。この先危険箇所。

 

燕山荘〜ヒュッテ西岳の縦走路は展望が良く、概ね気持ち良く歩くことができますが、時たまこうした危険箇所が出てくるので注意が必要です。

 

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表銀座縦走路。写真右側に槍ヶ岳が見えます。あそこまで行くのか……

 

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大天井岳まで3.5km。山頂には登りませんが。

 

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雲に半ば隠れていてもそ槍は目立つ。

 

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どこまでもつづく稜線

 

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滑落注意

 

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湖のようなものが見えました

 

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燕山荘を出発して3時間足らず、ようやく大天井ヒュッテを確認。当初の予定では昨日泊まるはずだった山荘です。

 

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9:00 大天井ヒュッテへ到着

 

表銀座は稜線なので緩やかな道だと思われるかもしれませんが、ところどころにアップダウンがあり、危険な箇所も何箇所かあるので気が抜けません。ここらでひと休みしたいところですが、雲が迫って来ているのですぐに出発。この日の宿泊予定地、ヒュッテ西岳を目指します。

 

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愛嬌のある道標に見送られながら出発

 

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雪渓が見えました

 

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山では天候に敏感になります。残りの行程にかかる時間を暗算し、それまで天気が保つかどうか、ペースを上げるべきかどうか常に悩みながら進まなくてはいけません (もっとも、たとえ要請されたところでペースを上げるなんてとうてい無理なわけですが)。

 

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この後ももちろんぼくとSは表銀座を歩き続けたわけですが、よっぽど疲れていたのか、なんとこの日の写真はここで終わってしまっていました。なのでここからの道程についてはごく簡単に記しておこうと思います。

 

大天井ヒュッテ出発から約2時間後、10時50分にヒュッテ西岳に着いたぼくたちはさっそく宿泊を申し込みました。すると山荘の主人は意外そうな顔でこう言ったのです。

「え、泊まるの? この時間だったらまだ先に行けるけど」

彼の話によれば、まだ昼前のこの時間であれば槍ヶ岳山荘は厳しいとしてもヒュッテ大槍までは行ける。もちろん体力次第だけど、若い人ならだいたい2時間から3時間でそこに行くことができる。……

 

この時点で (それこそ写真も撮れないくらいに) 疲れ果てていたぼくはありえへんと思いました。やっと山荘に着いたのに、まだ歩くなんてありえへんと。しかも先述の通り天気は着実に怪しくなってきており、いつ雨が降り出すやもわかりません。雨だけならまだしも稜線で風に吹かれれば転落の危険もあるし、雷が鳴り出したら隠れる場所もない。ただでさえ疲れ切っているのに、そんな不安要素を抱えながら進むなんてありえへんやろ、と。

ですが主人曰く天気は昼までは保つ。もちろん無理にというわけではないが、進むのも一つの手ではあるよと (そして実際、同じ頃ヒュッテで昼食を摂っていた人たちはまだ先に進むようでした)。

 

ぼくとSはとりあえず燕山荘に作ってもらった弁当を食べることにしました。

「どうする?」というSの問いに、ぼくは婉曲な言い回しで「やめとこう」と訴えます。ですがぼくよりも体力に余裕があってかつ現実的な彼は、しばらく黙考したあとでこう言いました。

 

「進もう」

 

彼曰く、「予報ヲ信ズレバ雨昼ヨリ降ル。若シヒュッテ大槍ニ至ルレバ、明日以後ノ行程甚ダ楽ナリ」と。

 

僕曰く、「マジで?」と。

 

しかしこういう時、僕よりもSの判断が正しいのはこれまでの9回の登山で実証済みです。ぼくは恨めしそうな目を隠す余裕もありませんでしたがおとなしく従うことにしました。

そして結果的には、この判断がベストだったことになります。

というのもぼくとSは雨に降られることもなく無事ヒュッテ大槍に到着し、翌朝、体力的にも天候的にも万全な状態で槍ヶ岳へアタックすることができたからです。疲れていたぼくを引っ張ってくれたSに感謝。

 

というわけで、次回はいよいよ本編最後、憧れの槍ヶ岳への挑戦となります。その山容をテレビで見てから、ずっと憧れてきた槍の穂先。——とうとう明日、そこに登る。そう考えると、期待と緊張で胸が騒ぎ、何か運命的な出来事が起こるのではないかという気さえしました。——近々更新予定。

 

 

ちなみに、ヒュッテ西岳からのタイムは、

11:10 ヒュッテ西岳出発

13:40 ヒュッテ大槍着

でした。この間、「山と高原地図」でも記されているとおり険しい崖にかかる梯子や鎖場など危険な箇所が多くあります。注意してください。