筑波山に登ってきた【登山レポ】
もう2週間も前のことになるが、大学の友達Sと筑波山に登ってきた。ここでは、遅ればせながらそのときのことを記したいと思う。
10月26日 (月) 晴
前回は奥武蔵の棒ノ折山に登った僕とS。ほぼ1週間に1度のペースで山に登る中、「そろそろ筑波山は押さえときたいよな」ということで、今回は筑波山に登ることになった。筑波山は茨城県つくば市にあるが、新宿から1時間10分と意外に近い。「西の富士、東の筑波」とも称されるこの筑波山に登るにあたっては当然ながら混雑が予想されたため、少しでもそれを避けるために実行日には平日を選んだ。大学生万歳。
9:46 つくば駅着
筑波山に登るには、つくば駅ロータリーの「つくばバスセンター」から40分ほどバスに揺られないといけない。つくば駅までは、都内からだとつくばエクスプレスに乗る。この日、僕とSは10:00発のバスに乗るべく、9:40つくば駅集合にしていた。つくば駅集合といっても、同じつくばエクスプレスに乗ることになるので結局は電車内での待ち合わせとなる。僕は平日朝のラッシュを嫌い、日暮里や北千住ではなくあえて武蔵野線の南流山という駅からつくばエクスプレスに乗り込むことに決めていた。狙い通り、平日朝といっても武蔵野線はさほど混んでいない。それどころか座ることができた。僕はサラリーマンの中に混じって座席に腰を下ろし、ザックから深田久弥『日本百名山』を取り出した。我ながらなんともミーハー的な行為だが (恥ずかしいので表紙はブックカバーで隠していた)、せっかくだからと「筑波山」の項を開く。
筑波山を日本百名山の一つに選んだことに不満な人があるかもしれない。高さ千米にも足りない、こんな通俗的な山を挙げるくらいなら、他にもっと適当な名山がいくらでもあるではないかと。しかし私があえてこの山を推す理由の第一は、その歴史の古いことである。……
こんなふうに始まり、『常陸風土記』にまで遡る歴史、宗教登山としてだけでなく、遊楽登山としても親しまれていた山であること、『万葉集』に詠まれていること、筆者の思い入れ、名の謂われについての考察などが章の最後まで抒情に満ちた筆致で認められている。『日本百名山』は、随筆としてもなかなか面白いと思う。1つの章が2、3頁なので「筑波山」の項もすぐに読み終わり、それからは気分に委せて目についた章を読んでいく。前前回に行った大菩薩嶺の章もあった。深田久弥が登った時と今ではだいぶ山のようすが違うらしい。まだバスも通っておらず、ほとんど登山客のいなかったかつての大菩薩嶺に思いを馳せる。……
そして、僕はやらかす。
朝早かったためか、つくばエクスプレスへの乗換駅、南流山駅を寝過ごしてしまったのだ。目を覚ますと新松戸。ここどこやねん。
スマホでナビタイムを起動している間に扉は閉まり、再び電車は動き出す。この時点で「ヤバイ」とは思っているものの、寝ぼけているためか頭は働かず。
やっと立ち上がったナビタイムで見てみると、やはり南流山を通り過ぎてしまっていた。次の新八柱駅で降りると、反対ホームに電車。朝から全力疾走。そして扉が閉まる寸前に乗り込む。これが功を奏して、どうにか予定より6分遅れの46分につくば駅に着くことができた。心優しいSは、アイアンクローだけで許してくれた。
10:00「つくばバスセンター」発
10:40「筑波山神社入口」着
筑波山神社
山頂までは主に御幸ヶ原コースと白雲橋コースの2つのコースがあるのだが、巨岩、奇岩が楽しめるということで、今回は白雲橋コースを選択した。白雲橋コースへは、筑波山神社の右側にある細道を進んでいく。
登山道入口
バスではけっこうな数の登山客が乗っていたのだが、いつの間にか自分たちだけに。
予想外に、けっこうえげつない (道が)。
「ここに白蛇が住むといわれ、白蛇を見たものは財をなすといわれています。」
白蛇さんカモーン。
えげつない。
「古来「石門」といい、聖と俗を分ける門。頭上の岩が落ちそうで弁慶も七戻りしたといわれています。」
石門を通り抜けるS。
「頭上の石」。こりゃ弁慶も七戻りするわ。(「七戻り」ってなんやねん)
ちなみに、通り抜けた側から見るとこんな感じ。
母の胎内くぐり「筑波山禅定 (修験の行) の行場の一つ。岩を抜けることで、生まれた姿に立ち返ることを意味しています。」
国割り石「往古諸神が集い、この石の上に線を引き、神々の行くべき地方を割りふったといわれています。」 これを見ると、国割りの昔から権力差だけはあったようだ。
裏面大黒「大きな袋を背負った大黒様の後ろ姿のように見えることから呼ばれています。」 僕にはゴリラの後ろ姿に見えた (ごめんなさい)。
確かに大仏に見える。
12:30 筑波山頂 (女体山頂) 着
山頂からの景色は抜群!
どうやら先端の岩に座って写真を撮るのが恒例らしいので、僕とSも挑戦した。この岩、僕らの前にいた森ガールたちは笑顔で座ったり立ったりしてたけど、崖下に向けてけっこうな角度で傾いてるし、つるつる滑るので怖い怖い。というわけで、Sに撮ってもらった僕の写真には、かなり引きつった顔が収められていた。
西に見えるは男体山 (871m)。このあと行きます。
筑波山神社本殿 (?)
ガマ石。口の中に石を投げ入れると金持ちになれるとか。みんなが投げては溜息をこぼすなか、Sが成功して喝采を浴びた。
御幸ヶ原。ここのテーブルでランチタイム。
例によってカップヌードル&おにぎりに、
コーヒーブレイク。が、今までとひと味違うのが、今回は単なるドリップコーヒーではなく、フィルタに入れた粉にお湯を注いでいること。……そう、ドリッパー買いました!
これ。2人用ということで適当に買ってみたが、特に問題なく使えた。フィルタは、市販のものでも代用できる。
さて。コーヒーブレイクが終わったら、いざ男体山へ。
えげつない。(3回目)
男体山頂 (871m)。御幸ヶ原から15分ほどで着いてしまった。女体山頂に比べるとかなり地味。
男体山頂からの景色。
女体山、男体山と制覇したあとは、いったん御幸ヶ原まで戻り、御幸ヶ原コースを通って下山。筑波山は麓の宮脇駅〜山頂間をケーブルカーが通っており、当初は復路はケーブルカーに乗ることを考えていたが、思っていたより時間的にも体力的にも余裕があったため (確か下山開始時刻が14:30くらい)、徒歩での下山を選んだ。
驚いたことに、下山中はこの1枚しか写真を撮っていなかった。やはり下山は足元に神経を使うので、写真を撮っているような余裕がなかったのだろう。しかしそれにしても極端過ぎ。
ちなみに、下山中は専ら「天然の女の子をどう思うか」について話していた。確か『ヤマノススメ』のここなの話から、天然の女の子の話に移ったのだと思う。ちなみに僕は女性に限らず天然のひととはなぜか相性が悪いため、苦手意識が強い。そのほかにも、というか僕にとってはこっちのが大事な会話だったのだが、人間の根本的なところについて話をした。今まで誰もわかってくれなかった感覚をわかってくれて嬉しかった。こういう話ができる友達がいてくれることはほんとうにありがたい。
スタート地点の「筑波山神社入口」に戻ったあとは、座るために1本バスを見送ったあと、16:00発のバスに乗ってつくば駅まで戻った。つくば駅前にはザ・ノース・フェイスやパタゴニアの入ったショッピングビルがあったため、そこでしばし登山用品をひやかす。ゴアテックス……。ほしいんだけど、やっぱ高ぇよ……。
まとめ
写真は日が沈んだ後のつくば駅前
日本百名山の中でも最も標高の低い山、また週末は大量の登山客で賑わう人気の山とあって勝手に高尾山のような山を想像していたが、思っていたよりも登り甲斐があり、山頂からの眺望も1000mに満たないとは思えないほど優れていて、「西の富士、東の筑波」と称されるのも道理だと思った。ウィキによればそう見えるだけで実際は独立峰ではないとのことだが、つくばエクスプレスやバスの中から望む筑波山の姿はまわりに峰がない (ように見える) だけなおさら圧巻であり、なるほどこの山が古くから熱心な山岳信仰の対象とされてきたのもうなずける。
そして、筑波山の魅力はなんといってもその手軽さだろう。茨城県に座しながら、都心から1時間強で行けるというのが素晴らしい。標高差はそれなりにあるが (656m) 決して難易度の高い登山ではないし、ケーブルカーが通っているので体力面に不安があればそちらを使うこともできる。手軽さのわりには景色も良いし、個人的には高尾山よりも断然オススメだ。
登山ルートに関しては、往復路とも徒歩なら悩むこともないが、どちらか一方をケーブルカーにするなら徒歩のほうは白雲橋コースにされることをオススメする。理由は実際に両方歩いてみて白雲橋コースのほうが面白かったから。しょっちゅう巨岩奇岩が現れるので、あまり疲れを意識せずに頂上まで楽しんで登ることができる。
最後に。今回、晴天にも恵まれて充実の登山となったが、平日にしてはけっこう混雑していたので、ほかのブロガーの方も書かれているように土日は地獄だと思う。行くなら絶対平日の、それもなるべく早い時間のほうがいい。どうしても土日でないと行かれないという方は、自家用車を利用するなどして早朝に行かれることをオススメします。
行程 (あとで思い出しながら書いているため、正確さには欠けます。あくまで参考程度にしてください)
9:46 つくば駅着
10:00「つくばバスセンター」発
10:40「筑波山神社入口」着
12:30 女体山頂着
12:50 御幸ヶ原着。ランチタイム。
14:00 御幸ヶ原発
14:20 男体山頂着
14:30 御幸ヶ原着
15:30「筑波山神社入口」着
16:00「筑波山神社入口」発
16:40 つくば駅着
おまけ
筑波山神社入口の電話ボックスにいらしったガマオヤビン。
筑波山神社に奉納されていた酒樽。地酒について知るにはこれがいちばんと思い、大きめの神社に行ったときは毎回チェックしている。宮坂醸造の「真澄」を知ったのも、諏訪大社に奉納されていた酒樽からだった。右から順に、「霧筑波」「男女川」「徳正宗」「副将軍」「花の井」「紫峰」。
よく見ると、蜻蛉。(写真右下)
バスから見えた筑波山。
御幸ヶ原から見上げた限りなく透明に近いブルー。