映画

『花束みたいな恋をした』/京王線の思い出

『花束みたいな恋をした』のDVDを観た。出てくる小説、音楽のことごとくが自分の通ったもので、恥ずかしくなるほどだった。ただ、映画内に出てくるコンテンツについて語ろうとすると「これ聴いてたわ〜 (読んでたわ〜)」しか言わなくなりそうなので、ここで…

まさかのB面『僕の村は戦場だった』

テクスト論的にいえば、作品は読まれないと存在しない、ひっくり返せば読まれることによって初めて存在するわけで、だからいかに作家が作品に厳密な意味を規定しようと、読者はそれをどのように読んでもいいし、また読むべきである。作品は作家の手にあるの…

余りに個人的な感想『あの子を探して』

チャン・イーモウ『あの子を探して』を観ました。 舞台は山村の小学校。唯一の先生であるカオ先生が母の看護のために一ヶ月村を離れることになり、代用教員としてまだ十三歳のウェイ・ミンジという女の子が村長に連れられてきます。 といってもミンジとて学…

黒澤明『羅生門』——「視線」をめぐる考察

卒論でテクスト表現との相違について書くにあたり、ここのところ僕にしては珍しく映画を観ていた。というわけで黒澤明『羅生門』について書きたいと思う。 『羅生門』は芥川龍之介「羅生門」と「藪の中」を組み合わせて撮られた映画だ。冒頭、カメラは羅生門…

『君の名は。』感想

今更ながら、『君の名は。』を観ました。 僕はこれまで新海誠の映画は全部見ていて、『言の葉の庭』ではがっかりしたもののまあ好きな監督ではあったのですが、今作『君の名は。』に関しては実は全く観る気がありませんでした。それは前作の言の葉で落胆した…